商品情報

2026年5月16日

【山道具の話】レインウェア選び、スペック表の“数字の森”をどう歩く?

この記事をシェア

スタッフのときおです。
店頭でもよく聞かれる「結局どれを選べばいいの?」という話。
【山道具の話】では、実際に山で使う時の感覚も交えながら、道具選びをできるだけわかりやすく解説していきます。

レインウェア選び、スペック表の“数字の森”をどう歩く?

登山を始めたばかりの頃、レインウェア売り場のタグを見て「結局どれが違うの?」となった人は結構多いと思います。
耐水圧30,000mm。
透湿性40,000g。
3レイヤー。
20デニール。
数字と専門用語が並んでいて、なんだか装備だけ急に理科の授業みたいになる。
でも実際に大事なのは、“スペックを暗記すること”ではなく、「その違いが山でどう影響するのか」をイメージできることだったりします。
今回はレインウェア選びでまず見ておきたいポイントを、実際に山で使う目線で整理してみます。

まず見るべきはこの3つ

レインウェアを見る時に、まずざっくりチェックしたいのが、
・透湿性
・表地のデニール数
・レイヤー構造
この3つ。
ちなみに、防水性を表す「耐水圧」という数値もあります。
耐水圧とは、どれだけ圧力をかけた時に水が生地を通り抜けるかという数値。
ただ、山で使うレインウェアに関しては、一般的に20,000mm以上あれば生地から水が浸入することはほぼないと言われています。
なので、20,000mmでも30,000mmでも50,000mmでも、「普通に山で雨を防ぐ」という意味では大きな差はそこまでありません。
当店で扱っているレインウェアはすべて20,000mm以上なので、防水性に関してはどれを選んでもしっかり山で使えると思ってもらって大丈夫です。
実際に差が出やすいのは、その先の“快適性”や“使い方との相性”です。

レインウェアの快適さを左右する「透湿性」

透湿性とは、衣類の中の湿気をどれだけ外へ逃がせるかという性能。
山を歩いていると、雨の日でも意外と身体は熱を持ちます。
特に登りでは汗もかく。
この時に透湿性が低いと、レインウェアの内側で“結露”が起こります。
寒い日に暖房の効いた部屋で窓ガラスが曇る。
あの現象と同じです。
防水フィルムは窓ガラスと同じく水分を含まないので、湿気が逃げきれないと内側で水滴になってしまう。
小雨くらいなのにレインウェアの中がびっしょり。
でも原因は外の雨じゃなく、自分の汗と湿気だった。
これは山では結構よくあります。
だからこそ、透湿性は快適さにかなり直結する部分。
ただ、透湿性が高ければ絶対快適かというと、実はそこも少し奥が深い。
湿気は暖かさにも影響しています。
特に肌寒い時期だと、湿気をどんどん逃がすウェアは少し涼しく感じることもある。
どの季節に使うのか。
どれくらい運動量があるのか。
その辺でも快適さは変わってきます。

軽さか、丈夫さか。「デニール数」の話

次に見るのが「デニール数」。
デニールとは繊維の太さの単位です。
ざっくり言うと、
数値が大きい
=厚手で丈夫
数値が小さい
=薄手で軽量
というイメージ。
例えば20デニール前後のレインウェアは軽量でコンパクト。
ザックの隅に入れても存在感がかなり小さい。
逆に50デニール以上になると、生地にハリが出て耐久性も高くなる。
岩や枝に擦れたり、重いザックを長時間背負ったりする場面では安心感があります。
つまり、
「軽さ」を優先するのか。
「耐久性」を優先するのか。
ここは使い方によって答えが変わる部分です。

着心地に関わる「レイヤー構造」

3レイヤー。
2レイヤー。
2.5レイヤー。
これは防水生地の構造の違いです。
3レイヤーは、
表地+防水フィルム+裏地
の3枚構造。
2レイヤーは、
表地+防水フィルム
の2枚。
2.5レイヤーは、
2レイヤーの裏側に特殊なコーティングを加えたもの。
ここで実際の使用感に大きく関わるのが“裏地”です。
裏地があると湿気を少し受け止めてくれるので、結露しにくく、肌離れも良い。
着る時もスルッと着やすい。
逆に裏地がないと、防水フィルム感が強く出やすく、ベタつきやすい。
2.5レイヤーはその欠点を軽減しているけれど、長時間着た時の快適性は3レイヤーに分があることが多いです。

結局、自分にはどれが合う?

例えば、
日帰り登山がメイン。
雨予報なら山には行かない。
そんな場合だと、レインウェアは“非常時装備”としてザックに入っている時間の方が長い。
そうすると、
・軽さ
・コンパクトさ
・価格
この辺を優先した方が使いやすい。
逆に、テント泊や縦走登山になると話は変わります。
何日も山に入ると、途中で丸一日雨に打たれることもある。
そうすると大事なのは、
・長時間着た時の快適性
・蒸れにくさ
・耐久性
になってきます。
さらに、通勤通学の自転車やバイクでも使いたいなら、耐久性の優先順位はかなり高くなる。
風を切って移動する時にバタつきにくい、生地のハリ感なんかも快適さに関わってきます。

スペック表の先にあるもの

レインウェアって、「一番スペックが高いもの」を選ぶというより、「自分の使い方に合っているもの」を選ぶ道具なんです。
ザックの中で待機している時間が長い相棒なのか。
雨の稜線を何時間も一緒に歩く相棒なのか。
そこが見えてくると、スペック表の数字もただの記号じゃなく、“山での時間”として見えてきます。
山道具選びは、「一番スペックが高いもの」を選ぶことではなく、「自分の山に合っているか」を探すこと。
カタログでは見えない部分を、また次回の【山道具の話】で。


【カタログではわからない山道具の話】他の投稿

このカテゴリーの新着記事