
スタッフのときおです。
店頭でもよく聞かれる「結局どれを選べばいいの?」という話。
【山道具の話】では、実際に山で使う時の感覚も交えながら、道具選びをできるだけわかりやすく解説していきます。
ベースレイヤー選び、“汗との付き合い方”で着心地は変わる
登山を始めるとよく聞くようになる「ベースレイヤー」という言葉。
でも最初は、
「Tシャツと何が違うの?」
「化繊とウールって結局どっち?」
「綿はダメって本当?」
そんな疑問を持つ人も多いと思います。
ベースレイヤーは、肌に直接着る一枚。
そして登山の快適さと安全を支える“土台”になるウェアです。
今回はそんなベースレイヤーを、実際に山で使う目線で整理してみます。
そもそもベースレイヤーって何?
ベースレイヤーの一番わかりやすい役割は、
「汗を吸って、できるだけ早く乾かすこと」
です。
登山では歩いていると汗をかきます。
でも、その汗で濡れた状態が続くと身体が冷えてしまう。
特に風が吹いた時や、休憩で止まった時。
汗で濡れたウェアは、一気に体温を奪っていきます。
だからベースレイヤーは、“汗を処理して身体を冷やしにくくする”ためのウェア。
派手さはないけれど、実はかなり重要な存在です。
「綿はダメ」って本当?
登山を始めるとよく聞くのが、
「コットンはダメですね」
という話。
でも実際には、“絶対ダメ”というより、「化学繊維やウールに比べると条件によって快適性や安全性が落ちやすい」という方が近いです。
綿は汗を吸いますが、乾きにくい。
なので汗をかいたあとに濡れた状態が続きやすく、身体が冷えやすい。
例えば、
・気温が低い
・風が強い
・トラブルで下山が遅れる
・休憩時間が長い
こんな条件が重なると、寒さによるリスクが大きくなってきます。
逆に、
・短時間の日帰り
・人が多い低山
・すぐ下山できる場所
・観光地に近い環境
この辺なら、そこまで極端に「ダメ」というわけではありません。
ただ、登山用として考えると、やはり化学繊維やウールの方が快適性はかなり高いです。
ベースレイヤー選びでまず見るべき「素材」
現在、登山用ベースレイヤーで代表的な素材は大きく分けると、
・ポリエステル
・ウール(メリノウール)
この2つ。
まずはこの違いをざっくり知るだけでも、かなり選びやすくなります。
速乾性と軽さの「ポリエステル」
ポリエステルの特徴は、
・速乾性が高い
・軽い
・耐久性が高い
という部分。
大量に汗をかく場面ではかなり強い素材です。
ただ、速く乾くということは、乾く時に気化熱で熱を奪うということでもあります。
つまり、“乾く時に少しひんやりしやすい”。
これ、夏場や暑がりの人にはかなり快適。
でも逆に、寒い時期や寒がりの人だと、その冷たさが気になることもあります。
同じ性能でも、人や状況によってメリットにもデメリットにもなるんです。
◎ ポリエステルが向いている人
・汗っかきの人
・軽さや動きやすさを重視したい人
・洗濯頻度が多い人
・ガシガシ使いたい人
・価格を抑えたい人
◎ 向いているシチュエーション
・夏山
・トレラン
・スピードハイク
・日帰り登山
・雨で濡れやすい日
・ザックとの擦れが多い場面
“動いて汗をかき続ける山”との相性はかなり良いです。
汗冷えを抑えやすい「ウール」
一方、ウールの特徴は、
・防臭性が高い
・濡れても冷たく感じにくい
・暑くなりすぎず寒くなりにくい
という部分。
特に「汗冷えしにくい」というのが大きな特徴です。
ポリエステルほど一気には乾かないけれど、濡れた状態でも冷たさを感じにくい。
なので、
・休憩が多い
・寒暖差が大きい
・気温が低い
こんな状況ではかなり快適だったりします。
さらに、ニオイが出にくいので連泊との相性も良い。
テント泊で数日着続けると、この差は結構感じます。
◎ ウールが向いている人
・汗冷えしやすい人
・寒がりな人
・ニオイが気になる人
・ゆっくり歩く人
・休憩が多い人
◎ 向いているシチュエーション
・春秋の登山
・冬山
・縦走
・テント泊
・風が冷たい日
・行動と休憩を繰り返す山行
“止まった時の快適さ”はウールのかなり強い部分です。
実際はもっと細かく分かれている
とはいえ、実際のベースレイヤーはもっと複雑です。
ポリエステルも、
・繊維の形
・編み方
・加工
・コーティング
などで性能がかなり変わります。
ウールも、ポリエステルとの混紡が多く、
・混ぜ方
・糸の作り方
・生地構造
で着心地や乾き方が変わってくる。
なので、本当はかなり細かく分類されています。
ただ、最初からそこを全部見始めると逆にわかりにくくなりやすい。
まずは、
「汗を大量にかくならポリエステル寄り」
「寒暖差や汗冷えが気になるならウール寄り」
くらいのイメージで整理すると、かなり選びやすくなります。
ベースレイヤーは“自分の体質”で変わる
同じ山を歩いていても、
すぐ暑くなる人。
汗を大量にかく人。
休憩すると一気に冷える人。
体質はかなり違います。
だからベースレイヤーって、“一番性能が高いもの”を選ぶというより、「自分の汗との付き合い方」に近い道具だったりします。
行く山。
行く季節。
歩くスピード。
自分の体質。
そこを整理しながら選ぶと、山歩きの快適さはかなり変わってきます。
山道具選びは、「一番スペックが高いもの」を選ぶことではなく、「自分の山に合っているか」を探すこと。
カタログでは見えない部分を、また次回の【山道具の話】で。

























