
スタッフのときおです。
店頭でもよく聞かれる「結局どれを選べばいいの?」という話。
【山道具の話】では、実際に山で使う時の感覚も交えながら、道具選びをできるだけわかりやすく解説していきます。
ウィンドシェルとレインウェア、“使い分け”で山はもっと快適になる
登山を始めると、かなりの人が一度は思うこと。
「レインウェアがあれば、ウィンドシェルっていらなくない?」
確かにどちらも“薄いシェル”っぽく見えるし、風も防げる。
実際、最初のうちはレインウェアを兼用している人も多いです。
それ自体は全然あり。
ただ、山行の回数を重ねていくと、
「レインウェアだとちょっと暑い」
「行動中は蒸れる」
「風だけ防ぎたい時に少し大げさ」
みたいなことが少しずつ気になってきます。
今回はそんな「ウィンドシェルとレインウェアの違い」を、実際に山で使う感覚も含めて整理してみます。
そもそも、構造がかなり違う
ウィンドシェルとレインウェアは、見た目は似ていても構造はかなり違います。
・レインウェア
レインウェアは、“防水”するためのウェア。
基本的には、
・表地
・防水フィルム
・裏地
のような構造になっていて、生地の中に“水を通さない膜”が入っています。
だから長時間雨に打たれても、中まで濡れにくい。
ただ、その防水フィルムは空気もほとんど通さない。
なので、熱や湿気はこもりやすく、行動中は蒸れを感じやすいこともあります。
もちろん透湿性はあるので湿気を逃がす性能はありますが、“風が抜ける”ような着心地とはかなり違います。
その分、
・寒い風
・強風
・冷たい雨
みたいな状況では、熱を逃がしにくく安心感があります。
・ウィンドシェル
一方でウィンドシェルは、“防風”がメイン。
かなり薄い一枚生地で作られていて、風を弱めながらも動き続けやすいバランスになっています。
さらに多くのモデルには“撥水加工”がされています。
ここで大事なのが、
「撥水」と「防水」は全然違う
ということ。
撥水は、水を弾く性能。
小雨や霧雨くらいなら表面で水をコロコロ弾いてくれる。
ただ、生地そのものは防水ではないので、長時間雨に打たれると徐々に濡れてきます。
つまり、
・ウィンドシェル
→ 風や軽い雨には強いけれど、本降りは苦手
・レインウェア
→ 雨には強いけれど、行動中は蒸れやすい
そんな違いがあります。
雨が降っていないなら、ウィンドシェルは実はかなり快適
実際、雨が降っていない状況なら、行動中はウィンドシェルの方が快適なことがかなり多いです。
例えば、
・朝の稜線で少し風が冷たい
・樹林帯を抜けた瞬間だけ寒い
・休憩中に少し羽織りたい
そんな場面。
ウィンドシェルは軽くてしなやかなので、“ちょっと一枚足したい”がかなりやりやすい。
しかもかなりコンパクト。
ポケットサイズくらいになるものも多いので、ザックの取り出しやすい場所に入れている人も多いです。
逆にレインウェアを行動中ずっと着ていると、
「暑い」
「蒸れる」
「脱ぎたくなる」
みたいなことも結構あります。
だからこそ、
“雨じゃない時に何を着るか”
で、山の快適さはかなり変わってきます。
ウィンドシェルと薄手ソフトシェルの違い
さらに少しややこしいのが、“薄手ソフトシェル”という存在。
これもウィンドシェルとかなり近いジャンルです。
実際、境界線はかなり曖昧。
ただ、ざっくり違いを言うと、
「空気をどれくらい通すか」
がポイントです。
薄手ソフトシェルは、生地に多少通気性があるものが多い。
つまり、衣類内の熱を適度に逃がしてくれる。
熱がこもりすぎないので、
・オーバーヒートしにくい
・暑すぎず寒すぎずに調整しやすい
という特徴があります。
特に、
・肌寒い時期
・止まらず歩き続ける山行
・行動量が多い場面
ではかなり快適だったりします。
逆に、レインウェアのように空気を通しにくいウェアは熱を逃がしにくいので、保温性は高くなる。
つまり、
「どれだけ熱を逃がすか」
でも快適なシチュエーションが変わってくるんです。
最初は兼用でも全然あり
これから山を始める方にとって、最初から全部揃えるのはかなり大変。
なので、
「まずはレインウェアを兼用する」
これは全然ありです。
実際、最初のうちはそうしている人も多い。
あと、
「とにかく荷物を減らしたい」
という考え方なら、兼用という選択も合理的です。
ただ、快適性を求めていくと、やっぱり役割を分けた方が使いやすくなってきます。
行動着としてのウィンドシェル、非常装備としてのレインウェア
実際の使い方としては、
・ウィンドシェル
→ 行動中に着たり脱いだりする“行動着”
・レインウェア
→ 雨や強風時の“エマージェンシー装備”
みたいに分けるとかなり整理しやすいです。
特に春秋や標高差がある山では、
「ちょっと寒い」
「でも厚着すると暑い」
この繰り返しがかなり多い。
そんな時にウィンドシェルは本当に便利です。
“何と組み合わせるか”で着心地は変わる
さらに面白いのが、シェルって“単体”ではなく、下に何を着るかでも快適性が変わること。
例えば、
・汗をかきやすい人
・寒がりな人
・止まる時間が長い人
・歩き続ける人
それだけでも合う組み合わせが変わります。
ベースレイヤー。
行動着。
保温着。
シェル。
その組み合わせをどうするか。
実はそこがレイヤリングの面白いところでもあります。
最初から完璧な正解を作るのは難しい。
でも、自分なりの着方を探していくのも、登山の楽しさの一つだったりします。
山道具選びは、「一番スペックが高いもの」を選ぶことではなく、「自分の山に合っているか」を探すこと。
カタログでは見えない部分を、また次回の【山道具の話】で。

























