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2026年6月1日

【山道具の話】レインウェアがしみてきた? その買い替え、ちょっと待ってください

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スタッフのときおです。
店頭でもよく聞かれる「結局どう考えればいいの?」という話。
【山道具の話】では、実際に山で使う時の感覚も交えながら、道具選びや使い方をできるだけわかりやすく解説していきます。

レインウェアがしみてきた? その買い替え、ちょっと待ってください

店頭でレインウェアの相談を受けていると、かなりの頻度で聞かれる質問があります。

「最近レインウェアがしみてくる気がするんです」
「もう買い替えた方がいいですか?」

実はこれ、必ずしも買い替えが必要とは限りません。
むしろ、レインウェアそのものはまだ十分使えるのに、撥水の状態が悪くなっているだけというケースもかなり多いんです。

今回は、レインウェアの撥水と防水の違い、そして買い替えを考える前に確認してほしいポイントについてお話しします。

「撥水」と「防水」は別物

まず知っておいてほしいのが、
「撥水」と「防水」は違う
ということ。

レインウェアは一般的に、

・表地
・防水フィルム
・裏地

という構造になっています。

実際に雨を止めているのは真ん中の防水フィルム。
つまり、防水性能そのものはこのフィルムが担っています。

一方で撥水は、生地表面に施された加工。
雨粒を弾いて、生地が水を含みにくくする役割があります。

撥水が落ちると何が起きる?

撥水が効いている時は、雨粒は表面でコロコロと転がります。
ところが撥水が落ちると、生地が水を含みやすくなります。
すると表地が濡れた状態になり、本来持っている透湿性が発揮されにくくなります。

その結果、
・湿気が抜けにくくなる
・蒸れやすくなる
・レインウェアの内側で結露が起きる
という状態になります。

すると、
「中が濡れている」
「水がしみてきた」
と感じる。

でも実際には雨が浸入しているのではなく、自分の汗や湿気が結露しているだけというケースも少なくありません。

撥水が落ちる原因は主に3つ

では、なぜ撥水が効かなくなるのでしょうか。
主な原因は3つあります。


① 汚れ

一番多い原因です。

汗。
皮脂。
泥。
日焼け止め。
排気ガス。

こういった汚れが生地表面に付着すると、本来の撥水性能が発揮できなくなります。


② 撥水基の乱れ

撥水加工には、生地表面に「撥水基」と呼ばれる水を弾くための細かな構造があります。
難しく考えなくても大丈夫。
生地表面に並んでいる“水を弾くための仕組み”と思ってください。
この撥水基がきれいに並んでいると、水滴は丸くなってコロコロ転がります。

ところが、

・着用
・収納
・圧縮

などを繰り返すことで、その構造が寝てしまうことがあります。
この場合は撥水が無くなったわけではありません。
本来の性能が発揮できていない状態です。


③ 撥水基の剥がれ

長年使っていると、撥水加工そのものが摩耗して減っていきます。
この状態になると洗濯や熱処理だけでは改善しにくくなります。

実は「とりあえず撥水スプレー」は正解じゃない

ここは意外と知られていないポイントです。
撥水基がまだ残っている状態では、新しい撥水加工はうまく定着しません。

例えば、
汚れが付いているだけ。
撥水基が寝ているだけ。

そんな状態で撥水スプレーを吹いても、本来の効果が十分に得られないことがあります。
汚れが付いたまま撥水剤を吹けば、汚れの上からコーティングしているようなもの。

まずは原因を見極めることが大切です。
つまり、
原因と対策はセット。
その原因とは違う対策をしても改善しないんです。

撥水を復活させる3つの方法

では実際にどうすれば良いのでしょうか。


① 洗濯する

まず最初にやるべきことは洗濯。
レインウェアは思っている以上に汚れています。
特に首周りや袖口には汗や皮脂がたまりやすい。
まずは汚れを落とす。
それだけで撥水がかなり改善することもあります。


② 熱を加える

洗濯後、

・乾燥機
・低温アイロン

などで熱を加えると、寝ていた撥水基が立ち上がることがあります。
メーカー推奨の方法を確認しながら行うのがおすすめです。


③ 再撥水する

洗濯した。
熱も加えた。
それでも改善しない。

そんな時に初めて撥水剤の出番です。
スプレータイプや洗濯投入タイプなどがあります。
撥水基そのものが減ってしまっている場合は、この再コーティングが有効です。

自分でできる簡単チェック

家でも簡単に確認できます。
レインウェアの表面に少量の水を垂らしてみる。
水滴が丸くなって転がるなら、撥水はまだ機能しています。

逆に、
・水が広がる
・生地に吸い付く
・すぐ濡れ色になる
という状態なら、撥水性能が低下している可能性があります。
まずは洗濯から試してみましょう。

本当に水がしみているケースもある

もちろん全てが撥水の問題ではありません。

例えば、
・防水フィルムの劣化
・シームテープの剥がれ
・生地の破損
などが起きている場合は、本当に水が浸入することがあります。

この場合はメンテナンスでは改善できず、修理や買い替えが必要になることもあります。

買い替え前に、一度メンテナンスを

レインウェアは決して安い道具ではありません。
だからこそ、

「濡れる気がする」
  ↓
「買い替えかな?」

ではなく、
まずは

「撥水は残っているかな?」

を確認してみてください。

洗濯。
熱処理。
再撥水。

この順番で試すだけで、驚くほど快適さが戻ることもあります。
そして、自分では判断が難しい時はぜひお店に持ってきてください。

撥水の問題なのか。
防水フィルムの劣化なのか。
まだ使えるのか。
買い替えた方が良いのか。

実際に状態を見ながら一緒に確認できます。

レインウェアは、手入れ次第で長く使える

レインウェアは消耗品ではありますが、「撥水しなくなった=寿命」ではありません。
定期的な洗濯やメンテナンスをすることで、本来の性能を長く維持できる道具です。

「しみてきた気がする」

そんな時こそ、買い替えを考える前に一度状態をチェックしてみてください。

山道具選びは、「一番スペックが高いもの」を選ぶことではなく、「自分の山に合っているか」を探すこと。
カタログでは見えない部分を、また次回の【山道具の話】で。


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